労働組合のメリットについて考えよう!

①労働組合がなかったら…

~太田さんのケース~

ある日の出来事です。A事業所の太田さんは、いつも通り8時半に出社しました。「昨日終わらなかった仕事を今日中に終わらせよう!」と思い、作業に取り掛かろうとしていました。
その時、「太田君、こっちに来て!」と課長が太田さんを呼びました。太田さんは、何の事だろうと思い、課長のところに行きました。すると、課長は「会社の意向なので、済まないがよろしくお願いします」と書類を太田さんに渡しました。
何かなと思い見てみると、目に入った文字は「解雇通知」。太田さんが何か言おうと思った矢先に、課長は太田さんの横を通り抜けていきました。取り付く島もなく、取り残されてしまった太田さん。今の会社には労働組合がありません。もちろん職場の組合役員もいません。
さて、太田さんはどう対処したらよろしいのでしょうか?

こんなこと、自分の会社では「ない」と思っていませんか…?
実はここ最近、労働トラブルに関する相談件数が多くなっています。

令和3年度 総合労働相談 約124万件
      個別労働相談 約28万件

労働組合がないと、こうしたトラブルを解決することはかなり難しいです。

◆個別労働契約:個人で労働紛争は簡単に解決することができない

労働者個人…民事の自由契約 「契約自由の原則」
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個別労使関係
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使用者…働き方の最低基準のみ 法規制(労働基準法)

・個別労働紛争の解決は労働審判
・個人で雇用を守るということは大変難しいこと

※労働審判
労働審判委員会が労働者と使用者との間の民事紛争に関する解決策を斡旋し、解決を図る手続きのこと。また同委員会が発する裁判も労働審判という。

②労働組合があるとどうなるのか

労働組合があれば、みなさんの雇用や労働条件を守る抑止力になります。

◆集団的労働契約関係:労働組合が雇用を守っている抑止力(団結力が強ければ)

労働組合の組合員…公的(法的)契約
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集団的労使関係
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企業…雇用や労働条件は労使の合意事項(団体交渉権)

労働組合があることによって、組合員の雇用や労働条件は労使の合意事項になります。
つまり、会社が勝手に動かすことができないのです。(法律よりも上位の憲法で保障)

③労働組合のメリット

■労働条件の改善
これが労働組合の大きな役割です。特に春の総合生活改善が代表的な取り組みです。産業別組織(基幹労連)・連合や地域の他の組合との連携でより一層の成果をめざします。

■働きやすい職場づくり 事故・災害のない職場が組合員皆の願いです。安全で、快適な働きやすい職場環境を、皆で協力してつくりあげます。

■各種の相談 職場、生活、法律など、労働組合は組合員の気軽な相談窓口です。特に労働条件に関しての苦情は、労働組合が個々のケースに応じてスピーディに解決します。

■共済福祉活動 万一に備えて、組合員が掛金を出し合ってお互いに助け合う共済活動です。
「こくみん共済coop」「ろうきん」活動を通じてみなさんのライフプランサポートをします。

■仲間を守る 万一の会社の倒産、人員整理の時、労働組合は組合員の利益を最優先に会社と交渉します。組合員の雇用を守り、安全と健康を増進する取り組みが最重要な活動になってきています。

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